2015/07/05

[012] 構造的回文


カバ(カバ科)

[かば かばか]
(旧版:(97) 2008/5/4

この回文は、まったくもって正しいことを言っているところがミソで、たとえば
カモ(カモ科)
だと、カモ科という科はあるけどカモという種がないからNG。あるいは
カメ(カメ科)
だと、そもそもカメ科が存在しないのでNGです。上記の回文では、カバ科に属するカバという種がちゃんと存在するので、文句のつけようがありません。ふーんよかったね。

私は動物だけしか検討していなかったのですが、O太郎さん(回文師)が、同様の回文を植物についても検討してくださり
カキノキ(カキノキ科)
というのを発見されました。これはなんだかすごいです。


これらの回文は、たとえば「カバ」や「カキ」などの単語からスタートしたのでは、到達するのが難しいと思われます。実際これらは、あらかじめ「○○(△△科)」とか「○○(△△属)」とかいう「文章の大域的構造」を決めて、それが回文になり意味も通るような単語を見つける、というステップで作られています。回文を作るさい、《意味》(シニフィアン)と《言葉》(シニフィエ)だけでなく、こうした《構造》に注目するとうまくいくケースがときどきあって、しかも新しい印象のものが生まれやすいので、重要なポイントだと考えてます。

ここ数回語ってきた「美しい回文」に関係して言えば、たとえば「完結性」は《意味》に関わっており、「文法」や「文章の流れ」は《言葉》に関わっているわけですが、それらとは別に、《構造》の面白さというのも、回文の良さをはかる際の大事な基準であるなあと思っております。

(注:「構造」は、ブログ旧版では「型」と呼んでいたのですが、あまり適切でないと思ったので変えました。あと、さっき調べて気づいたけれど、「クモ目」「クモ亜目」「クモ下目」はすごいですね。)

12 件のコメント:

  1. カキノキ(カキノキ科)に思いが至ったのは、柿の成る植物がカキではなくカキノキだという事実に衝撃を受けた少し後だったからなのです。「カキノキ科」だけで回文になっているのも面白いですね。でも本当は「カAB(CBA科)」みたいのがあったら凄いのになあと思っていました。
    罅ワレさんのラジオ投稿作では構造に注目したっぽいのありますよね。新しさに感心してます。
    「クモ目」は気付いていましたけれど、「クモ亜目」「クモ下目」は気付きませんでした。こちらも衝撃です。Wikipediaにも書いてあるのか……。

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    1. カキノキはそういうシンクロがありましたか。今回記事を書いていて、改めてカキノキつくづくすごいなあと思いました。
      生物の分類を使った回文というと、モーリーさんの「トナカイ」がすごすぎですが、面白いのができる余地はまだまだありそうです。「カ科」とかどうにかならないかなあ。「アカイカ亜科」なども回文心をくすぐります。
      ラジオでは、「桃」の回に構造的っぽいのを送ったらボツりまして、それから控えめにしているのですが、それでもたまには送ってます。構造に着目してくださりありがとうございます。「寿司」の回のはかなり気に入ってるので、そのうちブログでも出しますよ。

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  2. 私も探してみたい、と思うのですが、生物系に詳しくないので難しそうです。
    ただ、漢字と部首なども、構造的回文の仲間でしょうか?と言いつつ、まだよいものは見つからず「ん?便、ニンベン」という最初の「ん」が美しくないものしか考えられていないのですが…。

    あ。「地(つち)」は、見つかりました。

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    1. 楽しいコメントありがとうございます!
      漢字とその部首に関する回文は、奇遇にも私も以前からときどき考えているのですが、なかなかよいのに行きあたりません。構造的には、「梅は、木ヘンに毎」みたいな言い回しを使った回文が作りたくて、辛うじて
      「仕 ニンベンに士」
      「腐 肉に府」
      みたいなのがありますけど、なんか面白くないなと思ってます。
      「地(つち)」みたいなパターンは考えたことがなくて、なるほどと思いました。「期(つき)」とかもですね。漢字の部首の示し方としては若干分かりにくいという難点はあるかもしれません。

      なお、説明が分かりにくくて申し訳ないのですが、「構造的回文」と呼んだのは、何かとそのグループを併記した回文、ということではなくて、回文全体がどういう構造になっているかを最初に決めてスタートする回文、ということでした。回文を作り始めるとき、何らかの単語をスタートにしたり、意味を何となく決めてスタートしたりしますが、それらとは違って、「○○(△△科)」という回文全体の大枠(構造)が最初に決まっている、というわけです。

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  3. 「カンラン(ラン科)」といのがありました。やったー!

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    1. すごい! これは大発見!
      しかもおもしろいことに、「寒蘭」はラン科ですが、「橄欖」と書くほうはカンラン科ですね! wikipediaの見出しが「カンラン(カンラン科)」ってなってる!
        カンラン科のカンラン? ラン科のカンランか。
      回文で知恵を出し合えるのは楽しいですなあ。

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  4. あちゃ、カンラン科のカンランの方は罅ワレさんに先を越されてしまった。
    「カンラン科」は回文メモに残ってるんですけどねー。
    ちょっと悔しいけど人と一緒に検討するの楽しいですね。
    また見付けたらご連絡します。

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    1. いえ、きっとO太郎さんが先に見つけてるだろうなと思ってましたよ。
      「カンラン(ラン科)」がとてもよいのは、文字の並びが「カバ(カバ科)」等に比べて非対称であるという点に加えて、カンラン(カンラン科)が存在するために、科名を書き添えることに必然性がある点ですなあ。素晴らしい。
      何か気付かれたら、今後もご遠慮なく書き込みどうぞー。

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    2. 科名を書き添えることに必然性がある点には私も興奮しました。
      その後考えたのですが後は出てこなそうです。
      ちょっとルールを変えて
        ギギ科ギギ
        イチイ科イチイ
        イガイ科イガイ
        カジカ科カジカ
      というのは行けるのですが、これはちょっと面白みが欠けるかも。

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    3. そのパターンだと
      ゲンゲ科アカゲンゲ
      はどうでしょう。なかなかいいのでは。
      キツツキ科アカキツツキ
      もいたらいいなと思ったけど、ズアカキツツキしかいませんでした。

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    4. おお~、「ゲンゲ科アカゲンゲ」すごい!嬉しくなっちゃいますね。
      「ゲンゲ」という種が存在しないのでこのシリーズではNGかと思いきやラインナップに入れられるって所がまた嬉しいポイントです。

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    5. アカゲンゲ、奇跡的に存在していてよかったです。ゲンゲっていう名前がそもそもけっこう面白いですよね。
      科でなくて属でも作れるとすごいんですが、さすがにこれは厳しいかなあ。

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