2015/06/15

[006] 忘れた回文


兵器「大きい屁」

[へいきおおきいへ]
(旧版:(174) 2009/02/21

今回の回文も、回文チェッカーにかけたらちゃんと回文だった。よかった。

さて、前回の恥ずかしい話ついでに、もう一つ書いてしまいます。

上記の回文は、旧版で公開したあと、何人かの方から褒めていただき、私自身でも気に入っていたのですが、半年くらい前に『さかさ言葉「回文」のすべて』を見返していたら、第2章に
平気? 大きい屁 (闇から神谷作)
というのを発見してしまったのです。うーむ。これを違う回文だと強弁するのは苦しいですね。

自分が作った回文と偶然似ている(あるいはまったく同じ)回文が、作ったあとに見つかった場合にどうするか、という話を[002]で書きました。今回の「兵器……」の場合は、そこで想定していたケースよりももう少しややこしくて、自分が作った回文が、過去に読んだことのある文献の中に見つかった、という状況です。

「過去に読んだことがあるにせよ、その回文のことを忘れていたのだから、[002]のケースと同じなんではないかい」と思われるかもしれませんが、自分の考えでは、だいぶ違いがあります。たしかに実際「平気?……」のことはまったく記憶になかったわけですが、現に過去に読んではいるはずなので、「忘れても頭のどこかにそれが残っていて、それが表出されたのかもしれない」との可能性もなくはないからです。これは著作権法上もややこしい問題だと思われますが*1、そういう難しい話に踏み込まなくても、「過去に読んだものと似た(あるいは同じ)回文をうっかり作った」というのは、あまり気持ちがいいものではないですなあ。

とはいえ、回文ではこういうバッティングは往々にして起こるので、大して気にしなくてもいいんでしょうけどね。でも、ちょっと遺憾に思いますのは、過去に「平気?……」を読んだときに、その価値を見いだせなかったらしいことです。「これいい回文だなあ」と思っていたら、忘れ果てることはもしかしたらなかったかもしれないので。鑑賞眼ってのはなかなか大事なものですよ。


*1: 著作物に関する「無意識の依拠」についてはhttp://www.kottolaw.com/column_111214_1.htmlhttp://www.fractal-law.net/copyright/tyosakuken_singai.htmlが参考になると思います。
ところで、回文の著作権は厄介な問題で、法律的観点から誰かがちゃんと考察してくれたらいいと思うんですが、回文をやっていてなおかつ法律に詳しい方、どなたかいないかなあ。(このブログがこれだけ停滞してたのは、回文の著作権について調べたり考えたりしてたから、というのもあるんですが、私には手に負えない問題な気がしてきて、匙を投げることにしましたのです。)

5 件のコメント:

  1. それを言い出すと私も自責の念が色々と……
    作並の法曹爽歩先生は回文の名人でもあり弁護士でもあるのですが、ちょっと質問してみた所、「うーん難しいー」とのお返事でした。
    まああんまり深くは考えず趣味として楽しんでいらっしゃるのだと思います。

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  2. 法曹界の方に尋ねたことがおありでしたか、さすがO太郎さん。しかし回文名人弁護士さんにも難しいのですか……。
    著作権については深く考えない&回文の作者にはちゃんと敬意を払う、というのがよい態度だと思うので、そんな感じでやっていくつもりですが、それでいいのかどうかはよく分かりません。

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    1. この記事を書いてから、なんとなくモヤモヤしていたのですけれど、実は、『回文まんが2』(作・絵 太田光彦)にも「平気? 大きい屁」が掲載されていることにこないだ気がつきました。うーんこれは猛省が必要であることよ……。

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    2. そうなんです。でもそれは『さかさ言葉「回文」のすべて』で見て知った回文なのです。編集の方に一応相談して、ごにょごにょごにょって感じになりました。はぁ・・・・・・。

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    3. なんと! 変なことを指摘してしまったかもしれずすいません。(誤解されていたら申し訳ないので念のため書いておくと、「猛省が必要」と書いたのはO太郎さんのことではなくて自分のことですので。自分は2回もこの回文を目にしていながらどちらも読み流して忘れているという……何とも残念なことである。)
      『さかさ言葉「回文」のすべて』だと、17字以上の回文には著作権が主張されていて、それらを使用する際には作者を銘記せよ、それ以外は勝手に使ってよし、という面白規定が書いてありますね。そういうことなら大手を振ってごにょごにょしてもいいのでは。

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