2015/06/30

[011] 美しい回文(5)


下痢したケツ見て見つけた尻毛。

[げりしたけつみてみつけたしりげ]
(旧版:(209) 2011/1/17

作った回文を忘れてしまうのはもったいなく、せっかくだからいつでもすらすら言えるようにしておきたいなあとか思っていて、さらに欲を言えば、読んだ人が覚えてくれるとなお素敵だなあとか思ってしまっていて、そうなってくると、唱えやすさ・リズムの良し悪しは、回文にとって馬鹿にできない要素であるなあと思います。たとえば世界が恐ろしい回文不足に陥って、「竹屋焼けた」と「竹やぶ焼けた」のどちらか一方だけしか後世に残せない状況に追い込まれたとしたら、リズム以外の点ではとくに差のなさそうな二つなので、七音でリズムがよく、唱えやすく覚えやすい「竹やぶ焼けた」を選びたくなりますね。

上記の回文は、外から情報を補わずとも納得できる完結性を有しており、細切れになったりすることなく文が綺麗に流れており、そのうえリズムもとれている。なんて美しいんだ! 毎日でも唱えたい!

……ということで、およそ美しくない内容の回文を題材に、美しい回文について語るシリーズ、これにておしまいです。

4 件のコメント:

  1. ダックス2015/06/30 23:43

    回文になっていて、意味が(無理やりにでも)通ればそれで良し、というところから
    どうにか卒業したいとあがいている自分にとって、とても為になるシリーズでした。
    ありがとうございました。
    ヘンな内容の回文こそ、リズムや言葉の流れや分かりやすさが大切だなぁと最近つくづく思っておりましたので、表題の回文はまさに理想的なお手本です。毎日でも唱えたいです。
    そして美しく完成している物を敢えていじってみたらどうなるかと
    「酔いし乱歩、つい下痢したケツ見て見つけた尻毛、一本らしいよ」
    と付け加えてみましたが、やっぱり台無しになりました。すみません。

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    1. コメントありがとうございます! ぜひ職場でも街中でもぶつぶつ唱えてみてください。
      リズムや自然さ、大事にしたいですよね。問題は、そういう美意識にかなう回文がどうやったら作れるか、というところなんですが、それがなかなか難しいところですねえ……

      付け加えは、なるほど、本数で来ましたか。そういう発想が私にはなかなか出てこず、さすがダックスさん。「酔いし乱歩」は、酔って千鳥足になっているのか、酔っぱらった江戸川乱歩なのか、果たして。

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  2. 罅ワレさん、はじめまして。ウナパンでのすばらしい回文の数々に、勉強させていただいております、ラジオネーム“滋賀のりん”と申します。昨晩の鍵回文も、素敵でした。
    回文について考察されているブログ、とても魅力を感じます。これからも勉強させてください。よろしくお願いします。

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    1. おお、りんさんこんにちは! 初めまして。こちらこそいつも楽しみに聞かせていただいています。どうぞよろしくお願いします。
      「鍵」はなんだか難しかったですねえ。いろいろ悩んだ末、自分らしからぬ文学感のある回文を送ることになってしまいました……

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