2015/10/25

[026] 続々・構造について


さっ行くよロココもダダも快く 一茶

[さっいくよろここもだだもこころよく いっさ]
(旧版:(139) 2008/9/24

前回の「あるある」回文では、「あるある」という語が先にあって、それに合うような構造を考えていました。上記の回文は逆に、「五七五+作者」という構造ありきでスタートしています。「五七五」や「五七五七七」の音数をもつ回文はとても広く作られていて、構造からスタートする回文の典型例と言えますが、それをちょっと捻った構造を考えてみるのも面白いかと。

自由律でも作ろうとしてみました:
飼う豚さすがに逃がす 山頭火
ちょっと無理があるよ。
短歌でも作ろうとしました:
お肉友カツ友の自愛測るため勧めたるか「はい味の素」 塚本邦雄
何これひどい。

ユンブイカさんがこの構造を気に入ってくださったようで、あれこれバリエーションを作ってくれています。私は、「五七五+作者」の「作者」のところには俳人・歌人しか検討していなかったのですが、ユンブイカさんは自由に作ってくださっていて、じつに楽しいです。
さっ行くかチリより鳥取より近く/一茶
くんむりと軒歩き切る秋の鳥/ムンク
飼うほうよ蜂たちはいい蜂たちは/養蜂家
ぜひユンブイカさんには『手前の細道』まとめてほしい。

19 件のコメント:

  1. ダックス2015/10/25 23:33

    面白そうです!短歌・俳句ではないのですが作ってみました。
    堕つ身の悶えも良い 萌えだもの /みつを
    うーんひどい。

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    1. ダックス2015/10/26 0:01

      くどくてすみません。もうひとつ思いついたので…。
      落つ水面(みのも) 断言に騙され落ちがち 俺様だ 人間だもの /みつを
      うーんさらにひどい。どうしても人間だものが諦められなかったのでした。

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    2. コメントありがとうございます。みつをかー。ぜんぜん思いつきませんでした。
        男:罪 女:夢 みつを
      みつを感ゼロでした。「だもの」なしでも、上手くつくるのはなかなか難しそうですねえ。
      短歌や俳句やみつを以外だと、(ユンブイカさんも書いてくれてますが)名言調の文章が上手くできると面白そうです。これも難しそうだけど。

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  2. ユンブイカさんが反応してくれて(http://d.hatena.ne.jp/kaibun/20151103)いたからなぜかここで反応。
    「鬼来とも」かあ、まったく思いもよりませんでした。「家父死んで」がそれっぽくていいなあ。
    私も塚本邦雄のは怒られそう感がありましたよ。あと、短歌作ってる人にとっては、有名歌人の名前を勝手に使うのは、私なんかよりいっそう抵抗があるでしょうね。
    あと使えそうなのは「岡井隆」かなあと思ってます……。

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  3. サッ 衣類 脱いでんよ 晴れ女 ん? こんなん俺は 読んでいぬ(いる?) / 一茶

     効果音を「パサッ」にしてより衣類を脱いだっぽくすると
     詠み人が「一茶パ」というパロディを明示してるんだか
     何なんだかよく分からないものになるので止めました。

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    1. なるほどー一茶のコメント入りですね。「読んで」→「詠んで」かしらん。
      たまにはと思い、ネタにマジレスしてみますと、アイディアを活かすにはもう少し細部を練りたい感じはします。まず、一茶パロディとして読ませるには、中句の字足らずがどうも気になります。それと、「晴れ女」までを一茶の作として見せるには、やっぱりその直後に「一茶」を置きたい感じです。ネタの意図は、このコメント欄では伝わるけれど、一連の流れから独立して読まれると伝わらないおそれがありそう(いや、ここのコメント欄用に作られている回文なのだから問題ないと思いますけど、あえて言えばということで)。また、カッコ書きはここでは使わないで済むなら使わないほうがよい気がする。こういうギミックはだいぶ目立つので、回文全体の意図をぼやけさせると思うから。
        さっ行くわ軒樋狭く山河の戸 一茶
         ← ダサっいこの贋作 罵声怒気の湧く 一茶
      とかかしらん……これもうまいわけではないけど。

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    2.  有り難うございます。連鎖一茶もよいですね。
       僕はどちらかというと
       一句らしくみえる句でスッと自己言及で収まるのを
       やりたかったんですが出来ませんでした。

        否! 出んよ この句 僕のコ? 詠んでない
              ズラシと美味よ 詠み人しらず

       短歌なら句でなく首では…いや区切って俳句と捉えるのか
       とか ズラシと美味って何ですか とか
       また何やら適当ですみません。段差ズラしの妙味とかかな。
       否が先ず分からないけど、詠み人として出るのを拒否したのかな。

      (ズラー) 詩と美 観よ ぁれ? これ俺か? 詠んでんよ
                   彼?俺?…これァ 詠み人しーらず

       うーん、この。ズラッと並んでいるかんじかな。
       ズラっていう名言言う人とか居ませんかね。ズラたん…。

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    3. えーと、もはや単独でどころか流れを踏まえて読んでも意味がよくわからないずらー。
        さっ怒るで この句詐欺偽作 鋸出るか 一茶
      うーん。

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    4. さっ伊勢に 行くと詠みつつ 見よ!得意 / 偽一茶

      さっ伊勢に 行くと言うまま 憂いと悔い / 偽一茶

       一茶が詠んでいない事を中で説明しようとすると
       僕だと訳が分からなくなるので、
       こっちのやりかたでやってみました。
       当初の目的には適ったかも知れません。

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    5. だいぶ方向転換してきましたな。目的達せられたようでよかったよかった。

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  4. 群雄よ知りたいならば幾月待つ巻きつく荊泣いたりしよう/ユング

    ユンブイカさんのあのシリーズははじまったころからすごく好きなんですよね。
    当然罅ワレさんの一茶を思い出したわけですが。
    回文川柳は嫌いだけど作者込みだと好きなのは対称性が埋もれるからなのかなと思いました。回文短歌は好きだし。

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    1. ユンブイカさんのシリーズいいですよね。一茶をヒントにしてくれたのも嬉しいことです。またシリーズ継続してほしい。
      ユング短歌は何か奥深い雰囲気がありますね。ユング五七五はちょうどユンブイカさんもやってました。
      http://d.hatena.ne.jp/kaibun/20150212#p1

      回文川柳は、どうしても上下の句と中句が分離して見えるんですよね。句またがりがもっと使われるといいと思ってます。
      あと、回文川柳っていう名称はモヤッとするけれど、なぜこんな名称なのだろう。

      問「ロフト」答は「我意が生えたこと」 フロイト

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  5. 罅ワレさんのブログを読み、「作者名を入れる!?そんな形があったのか!」と知りました。楽しそうと思い、挑戦してみました。

    来し夜また 残る跳ぶ捕る この球よ   子規
    (きしよまたのこるとぶとるこのたまよしき)

    正岡子規と言えば、野球かと思いまして。
    いつも、刺激的な内容をありがとうございますm(_ _)m

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    1. 子規、これいいですね! この形式は、作者と内容がリンクするとナイスなのでしょう。
        来し球を掴めずグズめ喝をまた 子規
      ひどい内容になってしまった……

      こうしてこのブログをヒントに回文作ってくださるのが何より嬉しいのですーこちらこそいつもありがとうございます。

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    2. 「子規」はユンブイカさんのとこにもあったのを思い出したのでURL置いときます。
      http://d.hatena.ne.jp/kaibun/20150503

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    3. 教えてくださって、ありがとうございます。回文の世界は広いのですね。ユンブイカさんのページ、子規作品を読ませていただいたので、また他の作品もじっくり読ませていただきたいと思います。

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    4. ユンブイカさんの回文は独特で面白いです。実はラジオにも何度か投稿されてますよ。最近名前聞かない気がするけど。

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    5. ①鬼子母神落人惑う知恩寺も 子規 (きしもじんおちうどまどうちおんじもしき)
      ②来し方に妻灯籠と松に鷹 子規 (きしかたにつまとうろうとまつにたかしき)

      ↑皆様の子規回文が楽しそうなので自分のツイッタを検索したら上記2句が出てきました。4年以上前に作った回文ですが当時は①は季語がなく②は季語が2つもあるとぼやいていました。
      ↓で、新たに考えましたがもう季語とかどうでもいいような気になりました(笑)
      やはりもっと自由律でタイムリーな作者回文を作ってみたいです。

      騎士道と伝え聞く帰依断つ凍土 /子規
      きしどうとつたえきくきえたつとうどしき

      既視感に狼狽え吼えた浪人か /子規
      きしかんにうろたえほえたろうにんかしき

      鬼子母神祖先が祈願世尊寺も /子規
      きしもじんそせんがきがんせそんじもしき

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    6. なんと、子規回文作られていたとは。ちと見に行こうとtwilogでみィさんのツイート検索しだしたら回文が面白くて読みふけってしまう。読み切れないので一時中断中。「ルネはデカルトッw知っとるか。では寝る。」が好きすぎた。あと、当ブログ旧版とのネタ被りっぷりに趣味の近さを改めて感じましたよ。ストックしてあるのとそっくりなのが見つかったりしてたじろいでます。

      さて、「俳句っぽさ」を目指そうとすると、季語はなるべく気にしたいですね。このブログ旧版で出した回文「椎の実や庭の木葉に闇の秘し」は、けっこう俳句っぽいかと思っていたんですが、実は季重なりを起こしていたので新版ではボツです。
      季語はともあれ、鬼子母神はいいですね。①はたった5語から成っていてすごい。
        鬼子母神ポストに雲丹とスポンジも/子規
      いちおう雲丹は春の季語らしい……
        鬼子母神孫の亡き名の五万字も/子規
      なんか語順が変。

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