「塩舐めな!」
「何回舐めないかん?」
「1000回は行かな。舐め出しな、与太め!」
「ナメナメナメナメ、ナメナメナメ。舐めたよ」
「なし、ダメ! 7回はいかん、
1000回舐めないかんな。舐め直し!」
[しおなめな
なんかいなめないかん
せんかいはいかな なめだしなよため
なめなめなめなめなめなめなめ なめたよ
なしだめ ななかいはいかん
せんかいなめないかんな なめなおし]
冒頭の回文は、ラジオ番組「手賀沼ジュンのウナンサッタリパンツ」回文コーナーにおいて、「塩」がお題だったときに投稿し、見事、ボツになったものです……そりゃボツだよ。ナメナメナメナメって、ナメんなよって話ですよ。
と言いつつ、自分としてはけっこう好みだったりするのです。会話が論理的にちゃんと成立してるところがポイント高し。
こういった「会話回文」は、整った印象を与えないので好まない向きもありそうですが、回文体をあまり不自然に見せない手段としてはとても有効です(何度か書いてきた「第三のケース」です;[018]参照)。回文だと文が細切れになりがちですが、会話だと細切れでもあまりさほど不自然に見えない、ということが大きいです。また、回文では終助詞が跳梁しますが、会話ならば終助詞が多くても変な感じがしにくい、という点も重要です。
さらに、回文だと接続詞が使いにくくて、並列的で単調な文になりがちなところ、会話だと接続詞なしにあれこれ展開に変化をつけやすい、という利点もあると思います。そのため作るのも楽しいです。
1000字超えなど長文の回文で、すんなり意味が通るものを自分で作ろうとしたら、会話を使う以外にやりようがないだろうなあ、などと思ってもおります。具体的なアイディアはぜんぜんないけど。
このように、回文体を受け流すには、会話は詩歌と同じくらい強力な形式だと思いますが、詩歌ほどは頻用されていないような気がするので、まだまだ未開拓の領野であるように思われます。ぜひお試しをば。
冒頭の作品、私も大好きです。
返信削除なぜだかすごく、罅ワレさんらしさを感じてしまいます。
会話形式は、なんとか文章として成立させようとする時の強い味方なのですが
私の場合はまさに「なんとか」のレベルに留まってしまうことが多いなぁと。
ラジオで投稿する際にも、正しく伝わらない気がして、わざわざ役名を足したりして…。
冒頭の作品は、内容の面白さもさることながら、2人の関係性がはっきりしていて
注釈の必要などまったくないところが素晴らしいなと思った次第です。
コメントありがとうございますー。気に入っていただけて嬉しいです。これもまた、良くも悪くも自分らしい回文ですね……
削除そもそもラジオだと、会話は伝わりにくいですよね。カッコが回文内に入っているだけで、耳だと文意が伝わりにくくなる感があります。冒頭のは明らかにやりすぎだった……
ダックスさんのアンパンマン、やりすぎていて素晴らしいですねー
めちゃくちゃおもしろいです!………こんなすばらしい作品が、まさかのボツ!?投稿時間切れだっただけでは?
返信削除とにかく、会話がしっかり成り立っていて、でもこんな会話を現実にする人はいないというところが、おもしろくて流石だと思いました。
ありがとうございます! そうですねー時間切れの可能性も無きにしもあらずなんですが、でもいずれにしてもラジオ向きではないような気がしまする。長すぎるし。成立しているがありえない会話、という点は自分でも気に入っています。会話回文の楽しいところです。
削除これの他にも、時間切れか何なのか、気に入っているのにボツった回文があと2, 3個あるので、そのうちアップしますよ。
アンパンマンを罅ワレさんに見られてしまっていたとは…お恥ずかしい限りです。
返信削除りんさんから御指摘いただいて自覚しましたが、
まさにアカギレ先生の講座に強い影響を受けて誕生した作品群だと思います。
アカウント持ってないけど、twitterの回文界隈はしょっちゅう徘徊してるんですよ実は。話題のアンパンマンはすぐ読みに行きました。
削除私も読んでいて、アカギレ先生感を感じました。きっと異国のアカギレ先生も、真似したくてしょうがないだろうと思いますよ。
あえて選べば、「ホウツン菓子」がいちばん好きです。天命メンテとか、タイトルのフリがオチできいてるとことか。